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法律講座

平成22年度「高校生法律講座」実施報告

浜松支部 上原一成

 平成23年2月14日、新オンライン申請システムへの切替実施日ということもあり世の司法書士のほとんどが非常に慌ただしい朝を迎えた中(所謂、バレンタインショック)、私を含む8名が高校生法律講座の講師として静岡県立浜松商業高等学校に集合した。講義前の待合室は、「新オンライン申請システムへの切替えなんて、法律講座の優先順位を1番とすれば5番か6番だ(笑)」などと某会員の自虐的なギャグも飛び出すほど和やかな雰囲気であったが、私ひとり神妙な面持ちで講義開始の時を待っていた。なぜなら、私には昨年の苦い経験があるからだ。

 私が高校生法律講座の講師を担当するのは昨年に続き二度目である。昨年初めて担当した際、講師として(司法書士として)力不足を露呈し、情けなくも何の手ごたえも得られないまま終了した。その理由は明白で、教壇に立つという初めての経験から緊張によりその場の雰囲気に飲まれ、ただレジュメを読み進めるだけの退屈極まりない講義を行ったからである(私の講義がいかに退屈であったかは、講義途中から半数以上の生徒がうつぶせになり居眠りをしていた事実から自ずと想像できるであろう)。居眠りをする生徒だらけの中、それに対し何の方策を立てることもできず空回りな講義を進めた経験は、(少々大袈裟ではあるが)私の心にトラウマを残した。そして「講師なんて二度とやるまい」と誓ったのである。

 それから1年後、内田法教育委員会委員長より半ば強引に(笑)講師として誘いを受け、まさかの二度目の法律講座である。経緯はどうあれ再び担当することになった以上昨年と同じ轍を踏むまいと、あれやこれや考えて臨んだが、どうにも不安を拭いきれず上記のとおり当日を迎えてしまった。

 ところがである。私の不安が全くもって杞憂に終わるほどスムーズに講義を進めることができた。何も私の腕が上がったとか、そんなことを言っていいるのではない。たしかに、私自身が高校卒業当時実際に受けた悪質商法の勧誘の話を交える等、生徒の心を掴もうと工夫を凝らしたつもりだが、昨年との違いは、(講師用を含む)レジュメのグレードが格段に上がったことに尽きる。これについては法教育委員会の方々に心よりお礼を申し上げたい。扱ったテーマは、悪質商法(マルチ事案)・クレジットの仕組み・借金についての3本柱であったが、テーマの選別、話の展開(流れ)、各テーマのバランス(時間の配分)が絶妙であった。とくにクレジットの仕組みについては、メモをとる多くの生徒の姿を見ることができ、関心の高さをうかがえた。生徒らが知りたいのは、まさにこれなのかという手応えとともに、教える側としてここまで反応が良いと快感ですらあった。

 もっとも、委員会・メーリングリスト等で議論の対象になっているとおり本講座が本来の意味での法教育ではないことは承知している。実際にその内容は、今春社会へ巣立つ実業高校の生徒に向け、悪質商法等の注意を喚起するに過ぎないともいえる。しかしながら、私の拙い講義に真剣に耳を傾けてくれる生徒らの姿を見るにつけ、(個人的に)そんなことはどうでもいいように思えた。いずれにせよ、生徒(もしくは学校)側のニーズに応えるべきか、あくまで真の法教育に拘るべきか、はたまた折衷案をとるか、今後の大きな課題であろう。

 最後に一言。普通に生きていれば、教壇に立って学生に何かを教えることなど限られた人にしか経験できない。だからこそ(とくに未経験の)会員のみなさまには、積極的に講師に立候補し、是非私が得たような快感を味わっていただきたい。

清水支部 渡辺卓也

 平成23年1月17日に清水国際高校で高校生法律講座を開催しました。清水国際高校では、数年来、3年生を対象として毎年この時期に高校生法律講座を開催しています。私自身も清水国際高校での高校生法律講座に参加するのは今回で3回目になります。同校では、高校卒業後、就職する学生も多く、そのような学生を対象として悪質商法・クレサラ金などに対する注意喚起をして欲しいという要望があるようです。そのため、今回は「マルチ事案-クレジットカードを安易に利用してしまうと-」のテキストを使用して講義を行いました。

 当日、私たちが控室で待機していると、各クラスの代表生徒が担当の講師を呼びに来ます。私が担当したクラスの生徒に控室から教室まで案内され、その間、一言二言会話をしましたが、担当の生徒は非常にはっきりとした受け答えをしていました。  私が教室に入るとざわめいていた教室内の生徒達の視線がこちらを向きます。授業開始のチャイムが鳴ると、生徒達が静まり、代表生徒の号令で起立・礼が行われます。私も学生時代に何度も繰り返した行為ですが、講師の立場で生徒達から起立・礼をされると自分が緊張していくのが分かりました。

 本来のテーマに入る前に司法書士の紹介をしました。司法書士という言葉を知っている生徒は僅かに1名のみであり、他の生徒達は司法書士という言葉を知りませんでした。高校生が司法書士の存在をほとんど知らないことを実感しながら司法書士の仕事の内容について簡単に説明しました。

 マルチ商法を題材にして、その他の悪質方法の事例の紹介、家計管理の重要性、クレジットカードの仕組み、サラ金からお金を借りることの意味、利息をつけてお金を返済することの大変さ、債務整理・破産などについて説明しました。マルチ商法の説明の場面では、私がマルチ商法の勧誘役、勧誘される消費者の役を生徒の一人にしてもらい寸劇をして、テキストの内容に沿った説明をしていきました。寸劇では、私の必死の説明、勧誘にもかかわらず、消費者役の生徒に、私の勧める商品を購入してもらえませんでしたが、マルチ商法の仕組みについては理解してもらえたのではないかと思います。

 また、ほとんどの生徒が、将来クレジットカードを所有する可能性があることを踏まえて、クレジットカードの仕組みについて特に力を入れて説明しました。生徒の反応は概ね良好で、ほとんどの生徒は興味をもって聴いてくれているようでした。最後に、トラブルに巻き込まれたときの相談先を紹介して講義を終えました。

 今後、彼らが社会に出て、悪質商法などの勧誘を受けるような事態に陥ったときに、今回説明したことが彼らの記憶の片隅に残っていれば、被害に遭わずに済むのではないかと思いながら清水国際高校を後にしました。